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うつろな鏡

総裁が大阪旭区の区長に任命されたという不穏なニュースが流れているようですが、僕はこんな国からさっさと逃げ出してアルタイ地方へ行きます。

明け方に夢の中で言われたのです。
「さあ行け、西へ、原野へ、起源と歴史の物語のなかへ。そこに、お前が無くした声がこだまとなって黄金の山々をさ迷っているのだ」と。

僕は言葉というものを決して信じない。

僕たちは沈黙というものを本当には知らないから、いつも言葉に欺かれながら生きている。

それと気づかないうちに、お互いが少しずつばかしあいながら。

砂地の丘に風が刻んだ通り道を辿っても、風に追いつくなんてできやしない。

眼に映るのはうつろな似姿、影法師がこの世に残した身振りに過ぎない。

僕らに出来るのはせいぜい、過ぎていったものの後ろから、のろのろと跡をおって歩くことだけだ。

風に吹かれてさらさらと、現れてはまた溶けていく砂で出来た生き物たちに幻惑されながら。
by waraino-naikaku | 2012-04-01 19:07
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